2020年11月例会「八月の人魚たち」

とき
2020年11月23日() 午後6時30分
ところ
アルファあなぶきホール 小ホール
原作
J・ジョーンズ、N・ホープ、J・ウーデン
演出
酒井 洋子

ものがたり

キャスト

「作家について」

各地の感想文

舞台の幕が開き、人魚たちが飛び出してきた時、すでにもうずっと前からの親しい友だちの感覚でした。なぜなら台本は読んでいるし、当日のお昼には、素顔の人魚たちに会っていたからです。人魚たち、そんな本音を言い合って大丈夫?なんて素晴らしい絆の仲間たちかしら!思いっきり本気で、自由に伸びやかに生きて泳いでいる女性が一緒に笑って涙していますよ。人生を振り返った時、人生を豊かにしてくれたお芝居の一つとして、人魚たちを思い出すことでしょう。ありがとう、人魚たち!
市民劇場で舞台を見るのは今回で3回目。『八月の人魚たち』は、アメリカでの友情物語を五人の女性が演じていくというのでちょっと期待。カーテンが上がると私の大好きなフリオ・イグレシアスの「ビギン・ザ・ビギン」の甘い歌声でのオープニング。簡素なコテージではあるが南あめりかの保養地を思わせる舞台。照明によって明るく華やかだったり、ちょっとしんみりだったりと五人の女性それぞれの人生と友情が描かれ、期待を裏切らない舞台でした。色々と考えさせられる舞台もいいけれど、やっぱり楽しい舞台がいいですね。
アメリカと日本という国の違い、習慣等は会っても、女性同士が結んだ友情は男性諸氏が思うよりずっと深い。青春の一時期同じ目的を持っていたこの芝居の女性たちは卒業後もずっと交流を続けている。性格も仕事も違うが、かつての団結心が友情を培っている。お喋りとスキャンダル満載かと思えば、修道女だったジェリーが身重の姿で現れ産気づく所で俄然友情が見せかけではなかったというのがわかる。その後もそれぞれの人生の転機で、非難はしつつ、最後には理解し支援し問題に対処できる友が必ずいる。いや、居るというより、友を助けたいという気持ちが強いからだろう。一番頼りになっていた弁護士のダイナが亡くなった後、色事にしか興味がないように見えたレクシーの心遣いの深さを知ることになった。こんなの出来すぎよ、と思わぬでもないが、そういえば私もこんな友がいるなーと胸が熱くなった。