愛する人が一線を越えてしまったら!?
フランスの大物国会議員の妻の失踪の鍵を握るアメリカ陸軍大佐フランク。
超ド級の秘密を胸に、彼はなぜやって来たのか!!
フランスの有力国会議員アルベールは来月、息子ルイと同じ日に結婚式を挙げて、選挙に有利な話題づくりを狙っている。
そんな時に彼を訪ねてきたアメリカ陸軍大佐フランク・J・ハーダー。
国連の人権委員としての訪問と言うが、話題はアルベールの息子ルイのことばかり。
そして大佐は20年前に失踪したアルベールの妻マリィの事も詳しく知っている。
失踪事件の陰に隠された真実が明かされようとするが…。
なぜか大佐は彼らの結婚に反対の様子を示し、メイドもなにやら曰くありげに、彼らの秘密が気になる素振りを見せる。
アルベールの婚約者マチルドを巻き込みながら、急転直下のラストシーン。
「OH! マイママ、瞼の母は今どこに」
フランスでの初演は1984年のパリ。
作者は主人公を国会議員にしている。
このころの政権は1981年に交代したミッテランを大統領とする社会党政権。
保守勢力は野党となり、初めての革新勢力にフランスが沸いたころに書かれた。
アメリカ合衆国陸軍大佐。
国連の人権委員としてユネスコに派遣されている。
大きな秘密を握り(?)アルベール宅を訪問する…。
アルベールの婚約者。
アルベールとアルベールの失踪した妻・マリィとは高校時代からの友人。
昔からずっとアルベールを慕っていた。
フランス国会議員。
与党から野党へ、政権交代の憂き目にあう。
支持率を気にしていて、息子ルイと自身の結婚式を同日に挙げ、話題作りを企む。
アルベールのひとり息子。
婚約者との結婚を控え浮かれ気分。
建築家としての人生を歩み始めたが、婚約者に大物不動産デベロッパーの娘を選ぶというちゃっかり者。
スウェーデンからの留学生。
ラマール家の“お手伝い”をすることで、部屋と食事を出してもらっている、ハウスキーパーを兼ねたホームステイ。
この作品はブリケールとラセイグの共作。
1948年には知り合っていたが、お互いに単独で演劇界での仕事をしたのち、1964年から共作を始める。
はじめから共に作品を書くのではなく、同じテーマをふたりで別々に書き、後でまとめるという手法を取った。
ほかに処女作の『乙女座の女たち』、『そして姉さんは? あるいはこん畜生』などがあり、人間の内面に踏み込む劇構造が特徴である。
東京都出身。学習院大学講師。専門のフランス演劇を中心に舞台翻訳、ドラマトゥルグとして活動している。
昨年、イヨネスコの『瀕死の王』の翻訳で第1回小田島雄志賞を受賞。
主な舞台翻訳にミシェル・アザマ『夜の動物園』、エリ・ブレスマン『聞かせてよ、愛の言葉を』、ミシェル・ヴィナヴェール『テレビ番組』など多数。
日仏演劇協会セミナー(東京日仏学院)では解説者、作品リーディングの演出も手がける。また、NHK『テレビでフランス語』の講師も務めている。
東京都出身。1984年東宝株式会社入社。
おもに蜷川幸雄氏、野田秀樹氏、宮本亜門氏のアシスタントを務める。
1992年、ロンドンのナショナルシアターに留学。留学中、日生劇場にて『ガイズ&ドールズ』を演出し、演出家デビュー。
2004年に東宝の演劇部を退職。
おもな演出作品としては、『そして誰もいなくなった』、『検察側の証人』、『ロミオとジュリエット2001』ほか多数。
劇団NLTでは『宴会泥棒』、『佐賀のがばいばあちゃん』などを手がける。
演劇というものが、決して独りでは出来ない創作活動である以上、それに関わる人達が同じ方向を向いている事はとても重要である。それが劇団の存在理由であり、“喜劇”という旗印のもとに集結したのが我が劇団NLTであるからして、足並みは見事に揃っている……筈である。
ところがこの“喜劇”というのが大いに厄介な代物である。何が可笑しいのか? 笑いの基準は決して万人共通ではない。演じる側も観客側もである。どの“可笑しさ”を抽出するか、という点に“喜劇”を演ずる醍醐味がある。
永年連れそった仲間達とそれを探りながら稽古に励み、それが舞台から客席に伝わった時の悦びは正に至福の時である。伝わらなかったときの反動は、立ち直れないほどの悔しさと恥かしさに我が身は打ち震える。
これを繰り返しながらこれからも喜劇を演じていくのだろう。時には客演の方々の新鮮な息吹に刺激を受けさえて頂きながら。
私は子供の頃から芝居の世界に入っていましたが、その頃から人を笑わせる事が大好きでした。
ですからNLTの喜劇を観て下さるお客様の前で、気心の知れた仲間達と演じる事が出来るのは、とても幸せです。
素敵な芝居、楽しい芝居というのは、お客様がいつの間にか日常を忘れ、前のめりになってその芝居に入って下さる舞台だと思います。
その世界にお連れする為に私達俳優は、いつも自分の出来、不出来にとらわれず、相手役と観客と一つになって、見えない糸で繋がれているのを感じながら……それはまるで演劇の神様が降りてきて、私達を自由自在にその糸で引き寄せたり、渡したりさせてくれる様な感覚で演じる事なのです。
そして客席が笑い声で溢れたら、昨日迄の稽古の迷いや不安などが吹き飛んでしまい、又次の舞台へ! ……と私達は喜びと感謝いっぱいのカーテンコールとなって、演じる事が止められなくなってしまうのです。
今日の舞台も又、三位一体の最高のひとときを共有出来ましたら、それこそ至福の喜びです。
とてもよくできたお芝居でした。フランス的な自由な話。結末もオシャレでした。
皆さんとても上手に演じられていて、大佐が女性っぽさを上手に出していてうまいです。音楽も効果的でした。
すごく良かったです。喜劇を観るのは初めてですが、とてもおもしろかった。
笑うところはたくさんありますが、ただ笑わせるだけでなく、ストーリーの軸がぶれずに進んで、最後はホロリとさせられました。
役者の演技、間やタイミングがばっちりでした。
じわじわとわき出る笑い。楽しかった。活動的でテンポがいい。親友がパパと誤解される一部の終わりは感動場面。俳優さんの目がイキていてよかった。さすが目力。
NLTのお芝居はいつも楽しませてくれて、明るい気分で帰れます。元気になり感謝。
ストーリーの展開が次にどうなるのか予測がつかず、笑いの中で次第に流れに引き寄せられました。
愛と笑いの中で、家族の大切さを温かく感じることができました。
とても幸せな気分になれました。性別の問題は色々と難しいものではあるけれど、この劇のように幸せになれたらいいな。
大佐、素敵でした。時々見せる女性らしい仕草がまたよかったです。
おもしろかったです。本がよくできているから、無理な話が無理なく見せられ、大笑いしました。たった5人でこれだけ楽しませてもらえるって! 皆さん素晴らしかったです。
抱腹絶倒とはこのこと!
しかもホロリとさせる人の世の情の世界が全スタッフ・キャストに支えられて描き出されている。安心して舞台に集中できる。
震災後最初の鑑賞会で観た『オスカー』、あれですっかりNLTに魅せられ、今回も大変楽しみにしていました。
期待にたがわず、フランスコメディを軽妙に演じてくれました。本当はとんでもなく重いテーマなのに、笑いに包んでくれて。
初演の1984年当時、性同一性障害はまだ認知度が低かったと思います。今でこそ広く知られるようになりましたが、当事者の苦悩は深かったことと思います。
でも結局、男でも女でも同じ人間。子を思う親の心は変わらないのですね。
最後のジャサントのカミングアウトにビックリ。みんな切なさをかかえて生きているんですね。
おもしろいお芝居でした!!
かんちがいの滑稽さ…思い込むことの滑稽さに、笑いの中にひきこまれてしまいました。
二股愛? 三股愛? 同性愛? 母子愛。いろんな愛情が人間関係を形成していること、おもしろく、楽しく拝見させていただきました。
性同一性障害に関して、最近はメディアに取り上げられることも多くなり、違和感なくお芝居みられるようになり、時代の変化を感じさせられますネ。
セリフのおもしろさ、また、間のとり方の絶妙さで、ひきこまれて観ていました。
おもしろく観て、後に現実の問題を考えるきっかけとなりました。
最後に、“母”の告白を聞きたかったし、それに対する息子のことばを聞きたかった。そのような台本にしてほしい、とも思いました。
サークル全員が「おもしろかった!」という感想です。
ドタバタの翻訳劇が大好き。いやあ、本当に笑った、笑った…。
テンポの良さとセリフの歯切れの良さは秀逸。
一幕ラストにネタが出てしまったので、これでどうやって最後まで持って行くのかなあと思いましたが、最後の最後まで飽きさせない、ゆるみのない芝居でした。ますますNLTさんのファンになりました。
性についての新しい視点も嫌味なく表現されていました。また観たいです。
人間の個ということをあらためて感じました。
しぜんに心の中に入ってきました。
少し早く会場に着いたので、あらすじを読んでいたので、流れがわかり、比較的余裕を持って鑑賞できた。
他人事とは思えない。ハラハラドキドキしながらおもしろく鑑賞できた。
中でもアルベール役の加納さんのトボケた演技がハラハラドキドキを緩和してくれ、穏やかに鑑賞できて良かった。
最近長時間もの、翻訳ものに少し抵抗感を感じるようになっていましたが、「OH! マイママ」はあっという間に劇中にひきこまれました。
それは役者さんたちの確かな演技と、脚本から伝わる“大人って結構良いね!”と思わせてもらえるメッセージによるものだったと思います。
観終えた後には、何とも上質の笑いの中、さわやかで小気味の良い気持ちでいっぱいになりました。
近くに座っている人たちも楽しそうに笑っていて、とても良い時間を過ごせたことに感謝しています。
タイトルがピッタリくる内容でした。
おしゃれな時代の“ステキ”な感覚で楽しめた舞台でした。
結構複雑難解なテーマなんですよね。
たぶん西洋では身近な話題なのでしょうから笑った後にグッと迫る作品なのかもしれませんね。
単なるから騒ぎでない喜劇を十分に堪能できました。
ありがとうございます。
これほど笑える芝居だとは思っていなかった。
ミステリーの要素もあり、どんな真相が隠されているのかドキドキしながら事の成り行きを見守った。
複雑な親子関係が明らかになるにつれ、戸惑う役者さんたちのひとつひとつのリアクションが可笑しくて、どんどん笑いの渦に巻き込まれていった。
気がついたときには、すべてが一件落着。温かい家族の輪の中に私もいた。
性同一性障害という言葉が、社会に受け入れられて市民権を得ている現在では、これはあり得る話である。
だから今回の舞台は、重い喜劇として登場してくる。
単純に笑って過ごしてしまう芝居ではなくなっているのだ。
この劇団は、創立以来ずっとヴールヴァール劇を追い求めてきた。
だからこそ、今回の芝居の重さを舞台に造り上げることができたのだろう。
アルベールの婚約者は最高です。したたかな女性で、今の日本の女性たちですね。
留学生のお手伝いさんも、今も昔も変わらず、ご主人様息子さんには同じで…うれしく、楽しく、幸福そのものの若き女性(大学生) ブラボー
女性は、いつも時代を先取りしているような気がして楽しませていただきました。
次回もお待ちしてますよ。
14年前に『幸せの背くらべ』から今回の『OH! マイママ』まで7作に触れて劇団名に特に関心があったが、今回会報にその説明があり納得した。
そしてさらに、この作品には特別な願いが暗示されていたことが、幕開けの窓外の男女の踊りに動機づけるものの裏に、母子愛のほかに、性同一性障害に対する偏見への対処とは、深いねらいに感心しました。
あの震災の年の6月の『オスカー』以来の“NLT”公演、楽しみにしてたのに体調が悪く、それでも雪の中、観たい!! きもちにおされて会場へ…。
息子と父親の微妙な距離感がテーマ? と思っていると、なんとなんと、カミングアウトされ、市民権を得られつつあるが、現在も差別が存在している「性同一性障害」が語られはじめるではないか。
まさに“NLT”の真骨頂。上質な喜劇と出会った一夜でした。これだから鑑賞会はスバラシイ……と改めて思いました。
はやく元気になりたい!! (会員ふやさなくちゃ。)
10年前、5年前でもこの内容の芝居を観ることは難しかっただろうと思います。
意外な“まぶたの母”でおもしろかったです。
2014年新春2月例会は、劇団NLTのフランス喜劇で幕が開けた。
最初から次々と現れる登場人物の不思議な関係。“あれよ、あれよ”と思っているうちにやっと理解される。これがどうも可笑しさであり、笑いの渦の中におかれたとき、「いったい何物なのか」の問いになる。
今回の舞台より、自分も変身願望の思いを描いてみると「わたしは何物なのか」を考えてみた。
やっぱり人はいかに生きるべきかを永遠のテーマになるでしょう。
冒頭のダンスシーンから突然ラマール家のリビングになり、「何のつながりもないなぁ」と思いながら、ややこしいストーリーに引き込まれていき、性同一性障害という重いテーマをコメディで作りあげ、同性愛にまで発展し、何組ものカップルが交差し合う一夜の物語に。
最後には、新しい形のファミリーができあがり、ハッピーエンド? で終結したので観た方もスッキリ笑って帰れました。
なにしろ愉しい時間を過ごしました。
5人の演者の会話がよく聞き取れて、クスリ笑い、哄笑、大爆笑と会場いっぱいで共有したことは意味のあることでした。
「事実は小説より奇なり」の格言のように、荒唐無稽と思われることも時代が変わるとどうなるか予測不可能です。
セリフがよく通ることが第一とまた確認されたことでした。
ダンスの照明から一転、部屋のようすの変化にびっくり!!
その後も照明がコミカルな展開を引き立てる効果満点。
いっぱい笑いました。
常識的にはあまりおすすめではない男女の行為も、人間だものあるある…みたいな許容感覚になってしまうのは、登場人物が懸命に生きているのにどこかハチャメチャなせいなのでしょうか。
劇団NLT、楽しかった♡
次回の舞台が待ち遠しいです。
久し振りのNLT、喜劇専門劇団と聞き、興味津々でした。
性同一性障害という言葉はテレビなどで知っていましたが、それを喜劇としてどのように表現するのか、とっても楽しみにしていました。
芝居が始まり、早いテンポのかけあい、ついつい笑ってしまいました。
秘密を知ったふたりのパニック状態のおもしろさ、母親の感情が出そうになったり、体は男になっても心までは替えられない、チョッピリ悲しくなったり、嘘をかくすためにお芝居を作り、それにあわてる父親二人、久しぶりに大笑いした芝居でした。
劇団の方々との交流会も、出演者が5人と少ないのでセリフが多くて大変だ、と苦労話も聞けて、楽しい時間でした。
震災の暗いムードの中、この芝居を観て、笑い、考え、少しずつ元気になってゆけたらと思いました。
お芝居を観る楽しさをひとりでも多くの人に伝え、輪を広げてゆきましょう。