直木賞受賞作『女たちのジハード』(集英社刊)の舞台化! 女性の、女性による、女性のための、元気が出るドラマ!
康子は、高校卒業以来ただ地道に働いている。いずれ結婚するつもりでいたが、すでに婚期を逸してしまった。
リサは、母の様に子供が病気でも働き続ける女にはなりたくない。少しでも好条件の結婚相手を見つけ、早くOL生活を辞めたいと思っている。
紗織は損保の仕事は腰掛けで、いずれは自分の英語力を生かして世に飛び出し活躍したいとチャンスを覗っている。
一人、損保の仕事に生き甲斐を感じ仕事に打ち込むみどりであったが、会社からは「お局」として疎んじられ、退職を迫られている。
新人の紀子は、ふらふらと頼りなく社内を漂い、甘い結婚・暖かい家庭を夢見るばかり…。
OL生活の5人。だが、皆毎日「何か」が物足りない。
安藤と破局し、結婚の夢も破れ、マンションを買う決心をする康子。競売物件のマンションをヤクザと渡り合い必死の思いで手に入れる。
康子のジハード(聖戦)が始まる。
みどりは夫の昇進と引き換えに地方支社に飛ばされる。辞めてたまるものか! みどりのジハードが始まる。
リサも、紗織も、紀子も一歩踏み出した時にそれぞれのジハードが始まる。
女たちの〈ジハード〉に呼応するように、周囲の男たちの気持ち・行動も変わってゆく…
皆様こんにちは。劇団朋友で9月、『女たちのジハード』で例会にうかがうことができるのは、本当に久々のことになり、大変うれしく思います。ぜひとも素晴らしい例会にしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
さて、『女たちのジハード』は1996年直木賞受賞作の舞台化です。2005年まで鑑賞会の例会として再演を続けていましたが、再び2012年にリニューアル・バージョンアップしての登場となりました。キャスティングを総入替えしよみがえった『女たちのジハード』は現在にも充分通じる、さらに元気の出る作品となりました。
“女性の、女性による、女性のための元気の出るドラマ!!” ジハードとは聖戦と訳されますが、怖いイメージでは決してありません。強いていうならば自分自身との戦いかもしれません。現状に甘んじるのではなく、不平不満だけでなく、自らを信じ、自分自身と戦い、一歩踏み出して元気になる。そんなドラマです。
それは女性だけの話にとどまらず、男性にも、すべての人に通じていきます。不確実な時代、不安定な時代、混迷の時代などといわれていますが、だからこそ、正直に潔く勇気をもって、自らを信じ一歩踏み出していくところに道は必ず拓けると思います。社会状況も、鑑賞運動も、そして劇団活動も、大変厳しい時だからこそ、皆さんと共に、仲間と共に素晴らしい例会を迎えたいと思います。
お会いするのを楽しみにしています。何とぞよろしくお願いいたします。
「飛び出すなら、今しかない!!」(『ジハード』のセリフです)
篠田節子氏の小説『女たちのジハード』は、『小説すばる』に連載後、単行本として集英社から1997年1月に出版され、同年に第117回直木賞を受賞している。
1999年9年に、劇団朋友のスペース公演第5弾として初演。今から12年以上の歳月が経ったことになる。当時私は30代半ばで、原作を読んで、登場人物である20代、30代のOLたちの人生が、わが事のように感じられ、同世代の女性たちの本音を鮮やかに描き出してくれた篠田節子さんに感動と感謝の念を覚えたのを今でもありありと思い出す。
駆け出しの演出家だった私は、朋友でこの作品を上演できるということに大いにやりがいを感じていた。上演場所は中野のザ・ポケット。100席程度と小さいながら風格のある劇場で、舞台美術家の二村周作氏が、あらゆるシーンに対応し、転換に時間がかからない回転ユニットを考案してくれた。今日の舞台でも基本的なコンセプトはまったく変わっていない。
2000年12月、ザ・ポケットでの公演が評判を呼び、地方公演に呼んでいただけた。脚色に新たに篠原久美子氏を迎え、初演と同じキャスト、スタッフで挑んだ新生『女たちのジハード』は、制作の夏川氏の根気強いサポートと皆の努力が実を結び、その後4年間におよぶ地方公演を重ねる大ヒット作となり、2005年3月には文化庁新進芸術家公演事業として、朋友の若手俳優がこの作品を上演した。『女たちのジハード』は朋友のレパートリーとして貴重な財産になったといえるだろう。
再演を重ねて2005年に朋友は『女たちのジハード』をクローズすることを決定。ちょうどその時、私は朋友で『黙って行かせて』を演出していて、予算が少ないことだし、二村氏に頼んで『女たちのジハード』の舞台装置を全部塗り替えて、まるで違った舞台装置に作り変えてもらって『黙って行かせて』を上演した。私にとっては『女たちのジハード』との決別の儀式のようなものだった。
今回、決別したはずの『ジハード』を再演する、という話が持ち上がったのは昨年のことである。中部・北陸ブロックの演劇鑑賞会が、「元気の出る芝居を」と『女たちのジハード』を呼んで下さったのだ。びっくりしたが、何より、この作品を覚えていて下さった、7年前に閉じたこの作品が、演劇鑑賞会の会員の方々の心の中に生き続けていたのだ、ということに感無量である。
いまや初演から12年が経ち、すっかり中年になった私には、一新したキャストとともに、自分よりずっと若い世代を描き出すことが課題である。時代背景の違いを乗り越えられるか、高いハードルもある。しかし、1997年と今とを考えると、女性が社会で生きるためのジハード―聖戦―は変わっていないように思える。今日の舞台で観客の皆様がどう受け止めて下さるか、不安と楽しみでいっぱいである。
ユニットを回し、ロッカーを出し入れし、小道具の入替え、衣装の早替え、音響、照明を担ってくれるスタッフの皆さん、どうもありがとう! 最後に、『女たちのジハード』の企画者であり初代・斉藤康子役、そして今回、演出助手を引き受けてくれた西海真理さんに、この作品を捧げます。
最近、百人一首にハマっています。インターネットで競技かるたのゲームをしたり、解説本を読んだりして、千年の昔を楽しんでいます。その遊びの中でふと気づいたのですが、平安の世の女性たちは、実に気が強くユーモラスです。ちょっかいを出してくる男をぴしゃりと拒否したり、約束を破った男にきっちり皮肉を浴びせたりと、思いの外、潔いのです。逆に、男性の歌人の方が、冷たくなった女性を恨む未練や涙の歌を残しており、「男にここまで言わせるなんて、あっぱれ!」と、千年前の女性たちに思わずエールを送りたくなります。
『女たちのジハード』は、ある意味、そんなことを目指して書かれた作品ではなかったろうかと、10年前の初演時を思い出します。女性が女性に、思わず「あっぱれ!」とエールを送りたくなる、そんな作品にしたくて、深夜に及ぶ打ち合わせや泊まり込みのディスカッション、不眠不休の書き直しを繰り返し、スタッフさんも俳優さんも夢中で創り上げていたように思えるのです。
あれから10年の歳月が経ち、私も50歳という年を越えました。この度、再演されました舞台を拝見しまして、舞台に登場する女性たちが、私にとってはもう『娘たちのジハード』に見えています。
終演後に、なぜかふと、会社勤めをしていた20代の頃の二人の先輩の言葉を思い出しました。「女性の権利のための闘いで最大の敵は女性だった」という言葉と、「せめて女性同士でいがみ合うようなところは超えていきたいわね」という言葉でした。
私たちの世代は、娘たちの世代に、「同性にエールを送り合える世界」を手渡しているだろうか…。自問しても心許ない限りですが、千年前の先輩たちとも、30年前の先輩たちとも、娘たちとも、「その生き方、あっぱれ!」とお互いにエールを送り合い、これからの時代のジハードを、強く、ユーモラスに超えていけないものかと考えています。
劇団朋友の『女たちのジハード』を久しぶりに見た。ますますおもしろくなっていた。損保に勤める五人のOLたちの現状への不満と自立への旅立ちに、ユーモアがにじみ出ていたのである。
康子は34歳。結婚の機会がなく、貯金でマンションを買っちゃえ、と決意し、その物件をめぐってヤクザ相手にジハード(聖戦)を始める。彼女と同期入社のみどりは、夫の課長昇格と引きかえにリストラされるが、子供を産み、保険ブローカーの資格をとり、契約者の側に立って会社と交渉しようとする。紗織は25歳。得意の英語力で自活を目指し、挫折をくり返したあとアメリカ留学を果たす。リサは24歳。理想的な結婚相手を探したあげく、東大病院の医学研究者にネパールのトイレもない貧村についてきてくれと言われ、うなずく。高卒2年目の紀子は格好いい男と結婚して暴力をふるわれ、康子たちに助けられて離婚。介護の仕事について生き方が変わる。
原作にはない小田島部長なる上司が登場はしないが言及される。ぼくの観劇日を知ったかつての教え子宮崎演出家の、たぶん一日だけのいたずらだろう。もしかしてぼくに対する彼女のジハードでは? まさか。
若い女性たちがいろんな人生の場面に出会い、コミカルでテンポ良く展開するストーリーに引き込まれた2時間半でした。結婚や仕事や人生に悩みながらたくましく生きようとする姿に共感し、エールを送りながら見せていただきました。
どんな経験もすべて人生のプラスにしていく、それぞれの人生に乾杯!
自分の目標に向かい、必死に生きる個性豊かな女性たち、参考にしたい生き方でした。舞台装置の工夫も新鮮で、テンポ良く、気も削がれることなく、目が離せませんでした。
自分の人生、自分が切り開いていくことが大事。楽しいことばかりじゃないけど、努力を惜しむことなく前を向いて進む。いずれは明るい未来が待っている。考えさせられましたが、楽しく元気もいただきました。
原作・脚本・演出すべて女性で創られた女性5人の舞台。ストーリーのテンポも良く、共感できる部分もたくさんあって、長い舞台もあっという間で、とても楽しい作品でした。女性にはもちろんですが、ぜひ男性にも見てほしい作品だなーと思います。
女性のたくましさや、ひたむきさや、したたかさ、いろんな魅力がつまってて、やっぱり女って楽しい!! と心から思うすてきな作品でした。
最高でした。ほんとうに楽しく観ることができ、心がスカッとしました。働く女性に大きなエールになったと思います。
今後の自分の人生について、思わず考え込んでしまった。あんなパワフルな女性でありたいです。
原作者の篠田節子さんは、私と同じ1955年生まれです。そして地方公務員出身。私は現役ですが。
5人のOLたちの結婚、仕事、生き方の価値観がちがいますが、たくましく幸せを求めていく姿は、男の私にも元気を与えてくれました。
それにしても〈ジハード〉とはどういう意味なのか。直訳すれば聖戦、しかしこのお芝居では「ある目的達成のために努力する」という意味なのかもしれません。
普段はこうゆうアンケート書かないのですが…すごく良かったです。
事前に本を読んでいたのですが、おもしろくて、その本をこんなふうに脚本にできて、演出できるってすてきです。
俳優さんたちも素敵でした。
女性ってほんとおもしろい可能性がたくさんあるなーと考えさせられました。
(前文略)10年以上前に上演された作品ということで、少し時代が違うかなと思いながら観ていましたが、物語が進むにつれ、いつの時代でも女たちはがんばっているなと感じました。
生きていくうえで困難なことはたくさんあります。それでも、くじけることなく、前を向いて常に前進する康子をはじめ、出演者の女性たちには勇気と元気をもらいました。
場面転換はとても工夫されていてよかったと思います。ただ、舞台装置が少し暗いかな…と感じました。
笑いあり、涙あり、勇気をいただけた作品でした。楽しいひとときをありがとうございました。
男女平等が叫ばれて久しいですが、女性の意識改革はまだまだだと思います。そんな中にあって、この作品は貴重だと感じました。これからも長く公演できる作品であることを念じています。
出演者の個性あふれる演技も十分楽しませていただきました。ありがとうございました。
原作を読んでいなかったのですが、なかなか元気の出る舞台ですね。女性のパワーに圧倒されました。
何だか、仕事のミスでチマチマ落ち込んでしまう自分が恥ずかしいと思いました。
起業する人たちのパワーをいただいて元気が出ました。
シンプル・スピーディ・インパクトのモットー通りの素晴らしい舞台でした。パタパタと羽のように回る舞台、スピーディに展開するストーリー。最後まで、飽きることなく、まだまだ観ていたいと思った初めての作品でした。
テンポ感がとても良くて、楽しいお芝居でした。会社勤めをしていた頃のことを思い出して懐かしかったです。
女性たちは強い、頼もしい! あっぱれです。本当に人生に無駄なことは何もないですね!!
舞台装置は比較的シンプルなのに、場面場面でまるで違う舞台に見えて、感心しきりでした!
役者さんたちも皆すてき。
最初に観たのが、もう10年ほど前になるだろうか。今回メンバーを一新して、役者の年齢も若くなったせいか、エネルギッシュな舞台になって、とても良かった。
女性の自立と強さというのを、私も日々感じておりますが、強力な女性の応援歌であるといえる作品でした。
同年代のタイムリーな内容がとても共感でき、面白かった。自分の居場所を真剣に探す努力と、自分の道を確立するための努力をすること、その言葉にとても感銘を受けた。
また朋友さんの演劇を見に行きたいと思います。