劇団創立者のいずみたくが、初めて創ったミュージカル。1960年初演。
今も歌い継がれるテーマ曲『見上げてごらん夜の星を』は、日本のオリジナルミュージカルから生まれた唯一のスタンダード。
作曲家・泉川は30歳。そこはかとない疑問と違和感を抱きながら、コマーシャルソングの制作に追われる毎日。そんな泉川に、作詞家・永田は全く新しい仕事を持ちかける。「俺たちで、日本で初めてのミュージカルを創ろうじゃないか!」――
折しも1960年代、わが国は高度経済成長のただ中にあった。仕事も職も増え、空前の好景気に多くの人材が求められた。義務教育を終えたばかりの若者は“金の卵”と呼ばれ、学歴にかかわらず重要な労働の担い手となった。そんな時代に、自分と自分たちの未来のために、昼間は働き、夜は定時制高校に通う若者たちがいた。
その一人である坂本は、女学生・ユミコと机を通じて文通していた。昼間の課程で学ぶユミコと、それぞれ別々の時間に、同じ教室の同じ机を使っていたのである。
ユミコは坂本たちのアイドルだった。彼らはみんなして、顔も姿も謎のままのまだ見ぬユミコに対し、文面や筆跡など、ただ手紙だけをもとに、想像とも空想とも妄想ともつかぬものを抱くのであった。
ある日、坂本は机の中にユミコのものらしき財布を見つける。ユミコに会いたい気持ちがひときわ募る一同だったが、一方で折あしく、彼らのひとりが学費が払えず退学になるという。良心の呵責に苛まされつつも紙幣を拝借する坂本。そこへ、財布を探しにユミコが現れる。しかしユミコはそんなことよりも、昼に働き夜に学ぶ坂本たちの世界に新鮮な驚きを覚えていた。
本日はミュージカル『見上げてごらん夜の星を 〜ミュージカルこそわが人生〜』にご来場戴き、誠にありがとうございます。
いずみたくと永六輔さん、そして多くのスタッフの皆さんの情熱によって、日本で生まれたミュージカル。日本を愛し、日本の未来を夢見た若者のミュージカルです。
そして初演から五十年以上経ったこの作品が、今再び皆さまから求められているとしたら、それは偶然ではなく必然かもしれないと、前回の稽古場で永六輔さんがお話して下さました。
社会は常に変化しております。その変化をおこすのは今の自分たちでありたいと思っております。
その思いのある人と手を携えて、夢を追いかけて行きたい。現実と向かい合って胸を張って伝えられる舞台になることを信じて、日々公演に励んでまいります。
幕が開くと、ステージにとてつもなく大きなピアノをひっくり返したような台や細長い台。どこで芝居をするのだろうと思った。
その台の上でミュージカルが始まった。ピアノのような台は傾斜がついていて、立って演じるのはやりにくいにちがいない。細長い台との段差は40〜50cmもあろうかと思うのに、人々はスムーズに違和感なく移動していた。膝をしっかり曲げての移動なので、若者にしかできない動作だと思う。人が立体的に配置され、スムーズな動きをしながら演じる大変だっただろうと思うが、観る方には新鮮なものがあった。
中卒者は金の卵といわれていた時代の、定時制の高校生の物語。若い俳優さんが多く、ストーリーのように夢と希望を感じさせながら、情熱的に演じていた。おませな子役が笑いを誘うなど楽しめた。
ミニコンサートでは席を立つ人もなく、それぞれが唱和しながら楽しんだようだ。
『見上げてごらん夜の星を』の曲がミュージカル『見上げてごらん夜の星を』から生まれたと知って、歌詞の意味が一段と奥深いものになった。
永六輔といずみたくが和製ミュージカルに取り組んだ思いを知ることができ、その時代にがんばった人がいたんだなぁと改めて思った。
ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』は昭和30年代の日本を、その時代の青春群像を描いて見事だった。
私は定時制の夜間に学んだことはないが、そこで教えた教員を友だちにもち、日頃、生徒たちの姿を話題としたし、夜間短大の学生たちに接する機会はしばしばだった。
昼間は働き、夜に学ぶ一時代、いずみたくは永六輔の脚本とのコラボレーションでこの名曲を作った。
その時代をおそらく知らない今日の若者たちがそれを演じきったのだ。それだけでも褒められてよい。
ななめに坂めいた廊下の組み合わせの大道具、そこに上に下に、右に左に立って、しゃべる、歌う演出。それは3D、4Dの世界であり、凝縮されたミュージカルだった。
永もいずみも一時代を象徴する作家であり作曲家であったが、そうした時代の権化として不滅の名を残したのである。
永といずみ、そしてすべての関係者に拍手。
まず、若い演劇集団が舞台狭しと(本当に円形で傾斜した狭い木製? の台の上で大勢が動き回っていて心配だった)歌い踊る姿は感動的でさえあった。
また、その歌も、よく調和し、はっきり聞こえて快かった。
物語から、いずみたくが和製ミュージカルの創作にかける心構えが少し分かった気がした。
おまけの曲のメドレーも懐かしく申し分なかった。
さわやかに気持ちよく見せて聞かせて頂きました。
若い役者さんばかりなので、パワーを感じました。
舞台装置も非常に個性的でよかったと思います。
昭和27年高校を卒業して、あの時代をかけぬけた一人として懐かしく、いろいろな職業を経験し、やっと自分に合った職業を見つけ、人生のたそがれを迎える喜びを、今しみじみ噛みしめつつ、青春の一ページを思い出させて頂きありがとうございました。
年齢的に、永六輔、いずみたくという先生方の音楽に共感していましたが、今回の舞台がどのように進行していくのか? ミュージカル、年を重ねた私には、想像ができなかったのですが、座席も一等場所で音楽も踊りもハッキリと観ることができました。つくづく若さに感動しましたし、表情、表現、とてもすばらしかったです。
舞台に立っている一人ひとりが、とてもまぶしくうらやましい限りでした。これからも皆さん、多くの人に感動をあたえて欲しいと感じました。
今回の公演ありがとうございました。
ストーリーは単純明快、笑いと涙と、たっぷりの歌と踊りに大満足でした。
それにしても、あの歌もこの歌も、いずみたく作品だったのかと、最後の歌謡ステージで知りました。
50年ぶりの再演とか。100年残る残る歌になりそうな気がします生バンドよかった。
流れてくるメロディが全部分かる心地よさ、歌詞がすらすら〜と出てくる快感。
60代前後の私たちは帰りの車の中で、いずみたくさん、永六輔さんの「庶民目線の音楽」のすばらしさを語り合いました。
とても楽しく観させていただきました。私が10代〜の歌を一緒に歌わせて頂きうきうきしました。
歌唱力が素晴らしい。体中で音楽を感じました。生でなければ味わえない。感動しました。
ミュージカルを観る機会がないので大変よかった!
いずみたくさんの優しい曲、永六輔さんの分かりやすい言葉で進む物語。しっかり楽しめました。
劇団の方の一人ひとりの気持ちのよい歌声。どれをとっても日本人の日本人らしいミュージカルでした。
生演奏、とてもすばらしかく観劇いたしました。
若い方々のエネルギーをもらえます。