2016年5月例会『ネズミの涙』

とき
2016年5月21日() 午後1時
ところ
レクザムホール 大ホール
台本・演出
鄭 義信
作曲・音楽監督
萩 京子
上演時間
2時間35分
(休憩15分)

ものがたり

あっちこっちの前線を旅して回るテンジクネズミの〝天竺一座〟を中心に物語は進む。
座員は、父親マンガン、母親スズ、息子チタン、娘リンのたった4人の家族だけ。
野ネズミの軍曹、娼婦ネズミも巻き込み演じるのは、ご存じ「西遊記」。
チタンは軍隊に入り、野ネズミの兵隊ニッケルはリンに惚れて旅回りについてくる。
戦争は続く…。米粒より小さいネズミの涙が世界を覆う。
それでも希望を失わず行き続けるネズミたち。
愛と笑いと涙の〝天竺一座〟の旅は続く…。

キャスト

ネズミの涙は米粒より小さい。けれど、地球より重い

三度目の嘘

今回も最初は「西遊記」を丸ごとオペラ化しようと思ったのだ。
(ほんとに、ほんと)。けれど、実際に台本を書き始めると、いっこうに筆が進まない。
そして、僕は大変なことに気づいてしまった!実は僕は「西遊記」が大嫌いだったことを発見したのだ!
登場人物たちにもまったく思い入れできない。「天竺」を目指すために、妖怪を次々に倒す三蔵法師一行の姿は、傲慢にさえ思えてくる。
そんなこんなで、まったく筆が進まず、締め切りがとうに過ぎたある日、ネズミの旅芸人の一座が「西遊記」を語るというのはどうだろうか…と、ふと思いついた。
僕は「西遊記」の物語を「侵略」と「報復」と「戦争」の物語として描こうとしていたことに、さんざん悩んだ末に気づいたのだ。
今も世界のどこかで戦争は続いている。戦争で犠牲になるのは、いつも小さな弱い命たちである。僕は小さな弱いネズミたちに仮託して、ネズミたちの視線で、戦争の姿を見つめたいと思ったのだ。
(劇団資料より抜粋)